DHX 5.0のセッティング 富士見パノラマ 実戦編

今日、ある業界の方の軸間 9.5-ユニットストローク 3.0のユニットの作業をしました。
現象は、「初期がスコンと入って動きすぎる気がする。」
気がする。この言葉、曲者です。(笑)

通常、初期が動きすぎる場合にはダンパーのエア噛みを疑います。

リザーバー部トップキャップを外して、オイルをチェック。
エア噛みは発生していません。
トップキャップを外す前にブースト圧を確認しましたが、150PSIを超える加圧がなされていました。
ただしボトムアウトは開放に近い状態。これではパノラマでは柔らかく動き過ぎると思います。
メインピストンのバルブは異常なし。
プロペダルダイアルは開放から5クリック以上の設定。
リバウンドダイアルが開放から5クリック以上になっていることを確認。
この時点でセッティングの整合性が取れていません。(理由は後述します。)
そこでバンパーラバーをチェック。
衝撃で縮んだダンパーシャフトが戻る前に、更なる衝撃が入力されボトムアウトが発生しているようです。
これはバンパーラバーが少し切れていることから確認ができました。
突き上げ感があったはずです。それで空気圧をあげていた雰囲気。

何故、このようなセッティングになっているのか?
従来の短いユニットでのリバウンド側減衰の感覚をそのまま持ち続けていることに原因があります。

トラベルの長いユニットはサグが大きくなるため、
プロペダル(ロースピード・コンプレション)が強めの設定になるはずです。
プロペダルはリザーバーからボディ本体にオイルが戻る際の抵抗を変化させる機能です。
オイルが戻る際の抵抗を大きくすると、メインピストンが戻る際のスピードも遅くなります。

リバウンド側減衰はダンパーシャフトがストロークした際、
ピストンの上側に行ったオイルを戻す際の抵抗を変化させることによって発生させています。
リバウンド側減衰設定が強めであると、メインピストンは戻る時間が遅くなります。

プロペダルが強め、
リバウンド側減衰設定も強めであると、
トラベルが長めのユニットでは、中盤でユニットが動き難くなってしまうのです。

路面状態が良好なところで初期の動きは感じることができます。
このときユニットは時間をかけて元のポジションに戻ることができていますから、いい仕事をしているはずです。
この正常な状態が、動きすぎている感覚を生み出しているのです。

つまり動きにくい中盤域のコンプレッション的な感覚が気に入り、
初期に動きすぎるからボトムアウトしているとお考えになった。
これが問題の正体です。トラブルではありません。設定の間違いが生んだ違和感なのです。

問題の解決法は至って簡単。リバウンド側減衰設定を弱くすることです。

ボトムアウトを調整すると、中盤以降のコンプレッション側減衰が強化されます。
(パノラマでは開放から1回転から1回転半絞めこんでください。)
ブースト圧は全体の味付けの方向性を決めるもの。
(パノラマでは最低でも150PSIとしてください。)
プロペダルは初期のコンプレッション側減衰を強化するものなのです。
(パノラマでは開放から3クリック締め込みからはじめてください。)


もちろん大前提は正しいサグ設定。
プリロードが締め込み過ぎであると、やはり初期は動きすぎてしまうようになります。