フロントフォークの性能が上がるとステム長が短くなる(できる?) というロジック

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簡単に理解して頂くため、簡素化してお伝えしたいと思います。
「フロントフォークの性能が上がるとステム長が短くなる(できる?) というロジックについて、解説いただけたらと思います。」というコメントを頂きました。

どこから説明するべきなのか悩みましたが、最初の部分からという選択をしました。
まずはハンドル幅とステムの長さについて説明します。
かなり乱暴な解説になりますが、ステムの長さやハンドルの幅によって、押さえ込むための必要な力が変わってくることの基礎的な仕組みを説明いたします。

Aはステアチューブの中心点。BとCは仮想のグリップ位置とお考え下さい。
幅の広いハンドルの場合をB、幅の狭いハンドルの場合をCとします。
写真は一枚ですがBとCの長さのハンドルが取り付けられた自転車が二台あるとお考えください。
Dを車軸の位置とし、タイヤからの衝撃をフォークに伝えるポイントとします。車軸もフォークに取り付けられており、フォークはステアチューブの部分でフレームに取り付けられています。またステムはステアチューブに取り付けられていますから、Aという同じポイントを中心に動くことになります。このAが支点となるわけです。

A~Bの距離の方がA~Cの距離よりも長いことは一目瞭然。 A~Dの距離を1とすると、A~Cの距離は2、A~Bの距離は3といった感じになるかと思います。
フォークをはじくような力が車軸に入力されたとします。この力の大きさを60とします。
60×1(A~Dの距離)=60がステアチューブに入力されました。
ハンドルを回転させようとする力がBやCにかかります。
シーソーと同じで重さ×支点から座っているところまでの距離で力はバランスします。
Bには20、Cには30の力が加わることになります。

これを式で表すと、

60×1(A~Dの距離)=20×3(A~Bの距離)=30×2(A~Cの距離)

となります。

Bの20、Cの30が、それぞれハンドルを真っ直ぐ保持するために必要な力となります。
ステムを長くした場合には、BとCのそれぞれのポイントは前方に移動します。
その結果、Aからの距離の値が大きくなるため、ハンドルを保持するための力は少なくなるのです。


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シーソーをイメージするための写真(笑)


車軸に入力された60という数値。
前半では、この数値がそのままハンドルに伝わると仮定してお話をしました。
その数値を小さくすることさえできれば、ステムの長さを短くすることができるはずです。その装置が支点(A)と力点(D)の間に位置しているフロントフォークなのです。

簡単にご説明することできる、フロントフォークの改良点は剛性。
フロントフォークには様々な方向から力が加わっており、必ずしも直線的な入力ばかりではありません。
ボトムケースがねじれてしまえばインナーチューブはスムースにストロークできなくなります。ストロークできない状態では入力された力を消費することができなくなり、その衝撃がそのままBやCに伝わることになります。
剛性を上げれば、ねじれてしまう割合を少なくすることができます。
剛性が低い場合には、ねじれによる力やねじれが元に戻ろうとする反対の力が恒常的に発生することになり、オフロードでは真っ直ぐ走ることさえも難しくなります。

ダンパー性能の改善。
昔のモデルと今のモデルを比較すると、ストロークの“質”の変化に気がついて頂けると思います。

当時はサグという概念も一般的ではありませんでした。
現在のフォークはマイナスGの力が働く場合でもサスペンションが追従するようになっています。タイヤが接地さえしていれば、その際に受ける衝撃に対しても、ストロークすることができる性能が備わっています。

昔のコイルタイプのフロントフォークは一旦ストロークを始めると抵抗無く沈み込んでしまう製品が多かったと思います。(グラヴィエDHはエアバルブへの加圧によって後半の踏ん張りを実現していました。インナーチューブのコーティングといい、ストロークするという仕事に関しては非常に意欲的で先進的なフォークでした。)

FOXのフロントフォークはストロークの中間域でもコンプレッションが一定の割合で発生しており、更に大きな衝撃が入力された際にはコンプレッション側減衰が追加されるため、一気にストロークすることはありません。また必要最低限のストロークでスプリングの動きを制御するような設計がされているため、突き上げが発生し難くなっています。そのためリバウンド側減衰に頼ることのないセットアップが可能になっています。
リバウンド側減衰設定が過剰になってしまうと、インナーチューブの元に戻ろうとするスピードは遅くなります。その間にも入力される衝撃に対し、インナーチューブは更なるストロークが望めない状態となるため、これも突き上げる方向への入力となります。

ハンドルを真っ直ぐに固定した状態で走行することはできません。
バランスをとるために絶えず左右に振れています。
車体も常時地面に対して垂直な状態ではないため、突き上げ方向の力はハンドルに対してイタズラを仕掛けてきます。この突き上げ方向の力を緩和する装置がフロントフォーク。進歩すれば、ハンドルに対する影響を更に抑えることが可能になります。

XCレースに使用する際、外乱による姿勢制御を重視してステム長を決定される方は、ほとんどいらっしゃらないのでは?

100%の体力を発揮するための、自分に合わせたポジションを確保する。
その目的でステム長を選ぶことができるようになった原因のひとつがフロントサスペンションの進化なのです。


注:後半、簡単に理解していただけるよう、支点・力点・作用点という言葉を使用しています。

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