トレイルライド、ウエットコンディションのセッティング

トレイルライドのウエットコンディション、濡れた木の走り根や露岩、石などで少しでも滑らず走破するにはどうすればいいでしょうか。

使用機材はHTにF120fitRLCで普段は適正エア圧(僕の場合は50psi)にリバウンドはちょうど真ん中です。
リバウンドをゆっくり目にして接地時間を増やす方向で考えればいいのかなと思っていますが、わざわざ雨を狙ってトレイルでテストする訳にも行かないのでお願いします。
因みにレーサーじゃないんで変更で他の不具合が出てもあまり気にならないです。
例えばフラットダートでもっさりするとか登り返しが重たくなっちゃったとか。
よく行くトレイルでいつも苦戦するDHセクションをクリアできれば満足。登り返しとかXC的な箇所で足を着いても気にならないという感じです。よろしくお願いします。(原文まま)

29さんからコメント欄に頂いたご質問です。
多くの方がお持ちの課題だと思いましたので、御題で回答申し上げます。

>少しでも滑らず走破する
いきなりですが、これは無理です。
滑っていない感覚が得られている状態でも、グリップの強弱は発生しています。強弱どころか、グリップは喪失と回復を繰り返しているといっても過言ではありません。

ではグリップのメカニズムをおさらいしてみましょう。
唐突ですがスパイクはどうして滑りにくいのかを考えてみてください。
「地面に突き刺さっているから。」
確かにその通りです。三次元的なスパイク、先端部だけではなく、その側面でも接地面積を稼いでいます。

スパイクタイヤは通常のタイヤよりも接地面積が小さくなることが多いはずなのに、なぜ特定条件の元では通常のタイヤよりもグリップが向上するのかということを考えてみてください。
普通のタイヤよりも、スパイクタイヤのグリップ力が大きなわけではありません。
スパイクタイヤが有効に機能する条件下では普通のタイヤのグリップレベルが低下しているため、相対的にスパイクのグリップ力が優れているように感じるケースが多いのです。
スパイクタイヤのグリップ力が向上していると感じる大きな要因は、車輪の負担する重量が変らずに接地面積が減っていることにあります。要は面積あたりの負担重量を増やすことによってグリップ力を上げているのです。
(通常のタイヤは面で接地しますがスパイクのピンは点で接地します。仕事量は一定、接地面が小さくなれば、面積あたりの負荷は大きくなります。)

上手く例えることができませんが、床に置かれた重量物を手のひらで押して動かす場合、より大きな力を加えることができる状態とお考えください。手のひらの面積(接地面)は変わりません。
誰かが手伝ってくれる状態は、力を加えることのできる接地面が大きくなることに近く、同じ速さで物体を動かすのならば、あなたは補助された分だけ力を抜くことができるはずです。

長くなりましたが、ここでお伝えしたいのはグリップ力、荷重、面積との関係です。
29が横滑りし難い原因の一つがタイヤの接地面積の増加です。
接地している部分の、そのまた一部分がグリップを無くしても、他に接することのできている部分の負担する過重が大きくなり対応することができるのです。

ここまでのお話、なんとなく理解できていれば実用上問題ないと思います。

>適正エア圧
さて次はサグについて
サグは適正空気圧で管理するものでなく、沈み込み量で行ってください。
マニュアルにあるエア圧は目安とお考え下さい。
今回のF120RLCのサグ値は18mm~30mmのレンジとなります。

>50PSI
この付近が安定してフロントサスを動かすことのできる最低限の数値です。

18mmでサグをとっているのならば、増やしてくださいとお話することができます。しかし今回は設定空気圧が50PSIのため微妙かと思います。

サグを大きくした場合。
グリップを失った状態を回復するためにインナーチューブが伸びます。この伸びる速さのスピード(時間)を調整するための機能がリバウンドダイアルです。強く設定すればゆっくりとインナーチューブが伸びていくようになり、我々が対応する時間も長くとることができるため、安心感が増すという仕組みになっています。
サグ(距離)を大きくとることによってリバウンド(時間)が同じ設定であってもその効果が大きくなります。若干弱めに設定することによって、連続する岩などからの突き上げを防ぐことが可能になります。

今回はサグ量をこれ以上増やすことができないと仮定します。
RLCですから、初期のコンプレッション調整が可能になっています。正確ではありませんが、初期=ロースピード(スロー)側コンプレッションとお考えください。初期のコンプレッションはオイルの流れを絞ることによって余分な動きを抑えるという役目を行っています。調整をすることによってサスを動き難くする方向に設定するわけですから、それを動かす方向の設定にすれば、余分な動きは増えますがタイヤは滑り難くなります。

リバウンド側を強く設定していれば、構造上ある程度初期のコンプレションが強くなってしまう副作用があるため、これを初期設定のロースピード側コンプレッションとして使用することによって余分なインナーチューブの動きを制御することができます。(その分だけコンプレッションを弱く設定できます。)

これでフロントサスペンション側の機能は全て使いましたが、更に車体側の調整を行うことによって対策することが可能なのです。後輪が負担している荷重の一部を前輪に移動させることによって、前輪の荷重を増やしてグリップ力を向上させます。方法としてはハンドルの高さ、ステムの長さ、サドルの高さや位置などの調整など、多岐にわたります。

セッティング、面倒で手間のかかる作業ですが、自分が乗り易いと思う“世界に一つだけの状態”を自分のために探す作業。考えてみれば贅沢な時間の使い方であると思います。


>雨を狙ってトレイルでテストする訳にも行かない
いやいや、雨の中も一旦濡れてしまえば楽しいものだったりするのですが。(笑)