よくわかる高速側圧縮減衰、低速側圧縮減衰 (多分、きっと)

“ハイスピードコンプレッションダンピング、ロースピードコンプレッションダンピング”

“高速側圧縮減衰、低速側圧縮減衰”

『呪文?詠唱! 何を召喚しているのです、です?!』

イメージしろということが酷な言葉だと思います。

今日は構造的な観点からご説明を。
リザーバー付きのリアショックユニットを例にお話しますが、基本構造はリアショックもフロントフォークも同じです。

ユニットが圧縮されるとダンパーシャフトがダンパーボディの中に入っていきます。するとダンパーシャフトの容積分のオイルがリザーバーに移動します。

リザーバーの中にはオイルの他に窒素や空気が充填されています。オイルと気体は混合されているわけではなく、フローティングピストンと呼ばれる可動式の隔壁によって、気体とオイルを分けています。
オイルは圧縮されても容量が変化することはありません。ダンパーシャフトの容積分のオイルがフローティングピストンを押し上げ、充填された気体を圧縮する構造になっています。

低速側圧縮減衰・ロースピードコンプレッションダンピングは、ダンパー本体とリザーバーとの間にあるオイルの通路の大きさを変え、リザーバーへのオイルの流入量を制限することによって発生させています。

高速側圧縮減衰・ハイスピードコンプレッションダンピングも、その通路の中に発生装置があります。
普段、高速側圧縮減衰の通路は蓋がされており、機能することはありません。
瞬間的に大量のオイルが移動する必要に迫られると、低速側圧縮回路だけでは捌くことができないオイルが、その蓋を押して通路を開き、リザーバー に流れ込むようになっています。その蓋が開くまでの抵抗が高速側圧縮減衰の正体です。その蓋が開く加減はスプリングのプリロードによって変化させることができます。弱く設定し てあれば、簡単に蓋が開きますし、強い設定であれば、その蓋を開けるために大きな力が必要となります。

ゆっくりと(ロースピード)ダンパーシャフトを押し込んでいけば、低速側圧縮回路だけでスムースにオイルの流れをコントロールすることができ、その影響をストローク全域に渉って及ぼすことができます。
速く(ハイスピード)ダンパーシャフトを押し込もうとすると、低速側圧縮減衰回路で捌ききれなくなったオイルが高速側圧縮減衰回路に流れていきます。

低速側を極端に強くしてしまうと低速側圧縮回路の通路が閉じてしまい、オイルが移動することができなくなってダンパーシャフトが動くことができなくなり ます。しかし瞬間的に大きな力が加わると、高速側圧縮減衰回路の蓋が開きオイルが移動してストロークすることができるようになります。
あれ?どこかで聞いたことがありますよね。そう、これがロックアウトとブローオフの正体なのです。

今日お伝えしたいことは

1.低速側圧縮減衰、ダンパーシャフトの動きがロースピードであるのならば、ストローク全域にその影響が及びます。

2.低速側圧縮減衰を極端な設定にすると、ダンパー本体が窒息状態になり、スムースにストロークできなくなります。

3.低速側圧縮減衰はニードル(針のような形状の部品)を使い、物理的に通路を狭くします。プリロードを変化させる高速側圧縮減衰の調整とは異なり、1クリックあたりの調整が機能に対して、ビビットかつ効果的に反映します。

4.高速側圧縮減衰、話を分かりやすくするために蓋としましたが実際にはバルブリーフが使用されています。
入力された力によって開く隙間を変化させてオイルの流れる量をコントロールしています。(ここがブローオフとは異なるところです。)

この4点です。
何となくイメージすることができました?