40RC2 セッティングの具体的な一例 (ほぼ私信)

2010年以降の40のアッパークラウンは上側に17mmオフセットされており、インナーチューブが2009年以前のモデルよりも短くなっています。オフセットされている分、突き出し量が確保しやすいのですが、極端な量の突き出し量を必要とする場合には、ストロークを短くすることも選択肢の一つです。
ダストシールの上端部からクラウン下側までのインナーチューブ長が8インチ(203.2mm)あれば、安全というわけではありません。動的な状態ではフォークのたわみなどが発生します。

スプリング交換をした場合には突き出し量をリセット、0に近い状態にして下さい。
セッティングを進める上で一度に複数の変更(調整)を行わないと以前にお話をしました。しかしスプリングなどを変更した場合、前後それぞれに大幅な調整が必要となるため、一旦白紙に近い状態に戻した方が早くゴールに辿り着くことができます。

スプリングを柔らかくすれば、リバウンドは弱くなり、コンプレッションは強くなる傾向になります。コンプレッションのロースピード側はペダリングロスやブレーキング時の姿勢変化を確認しながら強くしていきます。

問題はハイスピード・コンプレッションの設定加減。
ハイスピード・コンプレッションは速く入力される衝撃などに対処するための機能です。ハイスピード側コンプレッションはストロークの最初の部分から発生させることができます。ストロークの後半、踏ん張り感への影響が大きなためストローク後半で発生していると思いがちなのですが、それは誤解です。

低速セクションに於いて、軽く登り上がり(フロントの荷重が抜け)、一瞬でフロントを落とされる(一気に前側へ強
制的に荷重移動させられる)場合にも、ハイスピード側コンプレッションは仕事を行っています。

スプリングを柔らかくした場合には当然その際の沈み込みが大きくなりますから、スプリング交換前よりもフロント側がつぶれるように感じます。その度合いを緩和させるためにハイスピード側コンプレッションを調整することになります。強く設定していくとフロントサスがストロークしない分、その代わりにライダーが何らかの働きをする必要に迫られることになります。その場合、慣性の法則によって発生した自分の全体重+αを両腕で支えることが自分に課せられる仕事になります。支えられる度合いは人によって変わってきますから、「何クリック増しが正解」といったお話をすることは不可能です。

これでは少し冷たいようなので、役に立つ実戦的で具体的なヒントを一つ。
フロントスプリングを柔らかくしたことによって、木の根などに滑って弾かれることが無くなり、ガレ場のような場所でも思っているラインに入りやすくなった場合、今までとは異なった感覚でバイクを動かすことになります。
以前のようなダイレクトな感覚ではなく、少しもたつくような感じを受けるはずです。このように変化してしまった感覚を、なるべく以前のものに近づけ、操作時の違和感を少なくするためにコンプレッション側減衰を足していきます。
ペダリングロスなどにあわせてロースピード側の調整が済んでいるのなら、ハイスピード側を一つ足してみてください。変化が起きるはずです。
「快適になれば、更にスピードを上げる。そして新たなる不満との対面を繰り返す作業がレースセッティングの基本」これがより速く走るために忘れてはいけないことなのです。

フロント側のスプリングを柔らかくしたり、インナーチューブの突き出しを大きくしたりする。
共に前下がりになる調整ですから、リアショックユニットにその影響が及びます。
突き出し量を減らすためにスプリングを交換した場合、スプリングが柔らかくなって増加したサグに、突き出し量を減らした分の長さを肩代わりして貰うことによって、その影響を小さくすることが可能となります。


リアサスペンションの調整についてのお話はまた日を改めて。