ボトムアウト設定とハイスピード側コンプレッション

「どうも違いがよくわからない。」
これが一般的な意見であると思います。
日本ではトップクラスのライダーでも、やっとその設定の重要さを意識してくれるようになったばかり。

シンプルにお話します。ボトムアウトは特性のデザイン設定を行うもの。

体感してみることが理解への近道です。

1.フレームからリアショックユニットを外してください。

2.スプリングを外してください。(レデューサーを外す必要があるユニットもあります。)

3.リバウンドダイアルを反時計回りに一杯に回し、最弱の位置にします。

4.青いダイアルのローコンプも反時計回りに一杯に回して最弱の位置にします。

5.ハイスピードコンプも反時計回りに一杯に回して最弱の位置にします。

6.エアバルブからエアを完全に抜いて、ブースト圧を0にします。

7.ボトムアウトを反時計回りに一杯まで回してください。
  ブースト圧は0ですから工具を使うことなしに回すことができると思います。

8.ポンプを使ってリザーバーのエアバルブから125PSIまで加圧します。

9.これで準備が整いました。手を使ってゆっくりとストロークさせてみてください。

10.一杯までストロークをさせる必要はありません。その感覚を覚えておいてください。

11.再びエアバルブから空気を抜き、ブースト圧を0にします。

12.ボトムアウトを時計回りに3回転締め込みます。

13.やはりポンプを使ってリザーバーのエアバルブから125PSIまで加圧します。

14.手を使ってゆっくりとストロークさせてみてください。

一回目とは違って抵抗が大きくなったポイントがストローク前半部分に移動したと思います。
ボトムアウトは空気室の体積を変化させることによって、踏ん張り感が出るポイントを移動させることができます。これを利用することによって特性を変化させます。

ボトムアウトは踏ん張り感を演出することがメインの仕事であり、物理的に空気が圧縮できなくなることを利用してボトムアウトさせないようにしています。
ボトムアウトは入力された力を効率良く熱変換することができません。圧縮された空気は元の状態に戻ろうとしてオイルを押し返そうとします。そのエネルギーを熱に変換し打ち消しているのが、ハイスピードとロースピードのコンプレッションなのです。

一番わかりやすい例はジャンプの着地。ハイスピード側がメインとなって仕事をします。減衰が働いていなければ、着地した際にバイクが一気に沈み込み、勢いよく元の状態に戻ろうとします。
衝撃を受け、ダンパーシャフトがダンパー内に入り込み、その体積分のオイルがハイスピード側コンプレッション回路に入り込みます。そのオイルの勢いをサンドバッグのように受け止め、打ち消す作業を行って姿勢の安定を図っています。
ハイスピード側が効いていないと着地時にライダーの頭が大きくぶれ、バイクが前に飛び出そうとします。
着地時にボトムはしないが頭は動いている(振られている)という方、ハイスピード側コンプレッションを調整してください。ボトムアウトの調整だけでは、こうした問題を改善することはできません。