フォークのガタについて

FOXの全てのフォークはオイルシールが使用されていません。
一般的にフロントフォークのオイルシールには金属の補強が入っており、インナーチューブを保持することも重要な仕事になっています。
FOXと同様に普通のフォークもDUとインナーチューブとの隙間があり、そこで発生するガタはオイルシールで吸収するような構造なのです。

FOXはスムースな動きを実現するためにオイルシールを無くし、ストロークしている間はその隙間に対してフォークフルードを供給しガタの発生を防いでいます。

静止している間はオイルが供給されませんから、フロントブレーキをかけて車体を前後に揺するとガタを感じますが、走行時にそのガタを感じることはまずありません。

ただし例外的な場面があります。

ロックアウトをしている時、当然のことですがフォークはストロークしません。
ストロークしないのですから、ボトムケースの下側に入れられているフォークフルードがDUとインナーチューブとの間に新たに供給されることはありません。
ロックアウトされた状態が長く続くと、毛細管現象で保持されていた隙間のオイルが路面からの振動によってボトムケースの下側に落ちていきます。(潤滑用のオイルはフォームリングに蓄えられたフォークフルードによって供給されるため、直ちに焼付いたりするようなことはありません。)
DUとインナーチューブの隙間に蓄えられたオイルが落ち切ってしまうと、単なる隙間となってしまい、オイルが振動を緩和することができなくなり、フォーク内部の状況がライダーに対してダイレクトに伝わります。
ロックアウトされた状態が長く続くと、走行時にもガタを感じてしまうようになるのです。

ロックアウト機構を持っているRLやRLCだけではなく、テラロジックもブローオフ設定が強いとロックアウトと同じような状態になります。テラロジックは路面からの衝撃を受けるとストロークする構造になっています。
以前にもお話しましたが、テラロジックはオイルの通路をブラスマスと呼ばれる錘で塞いでいます。ブラスマスはスプリングによって保持されており、そのスプリングのプリロードを変えることによってインナーチューブが動き出すタイミングを調整しています。
車体を横にしたり、逆さまにしたりすると、ブラスマスを保持しているスプリングは重力から解放されて、通路が開くことになり、元に戻してもしばらくはストロークしやすくなります。またそうした状態にしておくと、ストロークしていなくてもDUとインナーチューブの隙間にオイルが供給されることになるため、一時的にガタがなくなります。

常時ガタが発生している状態であれば、DUとインナーチューブとのクリアランスが摩耗によって大きくなっている可能性があります。
ガタを感じる時と感じない時がある。これはトラブルではなく、DUとインナーチューブとの隙間のオイルが一時的に無くなってしまった場合にガタを感じているのです。

テラロジックの場合はブローオフ設定を弱め、RLCの場合にはスレッショルド調整を弱め、適度なストロークをさせることにより、ガタの発生を抑えることができます。