サグのレンジついて

15%から30%のレンジで設定するようにお願いしていますが、どのような違いが出てくるのでしょうか。一番説明のしやすいDHX RC4の9.5-3.0を使ってお話したいと思います。
ここでお話しすることは基本的に全てのショックユニットに対して、通用するものであるとお考えください。
サグの違いは、スプリングレートやエアスプリングの空気圧設定の違いによって生まれます。縮んでいくスピードが遅くなるだけで、コンプレッション調整によってサグ量は基本的に変化させることはできません。今日はその設定によってダンパー内部で何が起こっているのかを知って頂きたいと思います。

ダンパーシャフトがダンパーボディの中に入り込むことによって、ダンパー全体の長さが短くなります。シャフトが入り込んだ分だけ、オイルが移動してダンパー内に充填された窒素や空気が圧縮されます。快適な乗り心地を実現するため、サグを限界の30%に設定すると、9.5-3.0ならば0.9インチ=22.86mm分のシャフトがダンパー内部に入り込み、移動したオイルによって空気室が圧縮されることになります。
下のグラフの横軸はシャフトの入り込む量、縦軸はリザーバーの内圧の変化を表しています。
二本のグラフはブースト圧設定が125psiと150psiの変化を表したもの。
150psiでシャフトが20mm入り込むことによって変化した内圧は、125psi設定でシャフトが40mm入り込んだ時の内圧に相当します。125psiで40mm、既に気室が小さくなり、内圧が急上昇する領域に差し掛かっているため、踏ん張り感を感じますが、150psi/20mmではスムースに動き出す感覚となります。

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絶対にミスをしないライダーならば、速く走るため(走行限界を上げる)にサグを15%に向けて減らしていくことは間違いではありません。ただリザーバーの内圧を、よりシビアに管理することが必要になります。
低過ぎる内圧であれば、ダンパーの特性として中盤から後半にかけての踏ん張りが足らなくなり、高過ぎる内圧であれば、踏ん張る領域が手前に来てしまい、滑らかな走行の邪魔をします。
ある程度はボトムアウト(空気室の容量設定)で調整することができますが、内圧が低い場合にはボトムアウトは小さくする必要(締め込む必要)があり、内圧が高い場合にはボトムアウトを大きめ(開放)にする必要があります。
余談になりますが、フルボトムしてしまうため、内圧を高めに設定して、ボトムアウトコントロールを三回転締め込む。これは矛盾した設定であり、スプリングレートもしくはリバウンド側の減衰量が間違っていると考えるのが妥当である場合が多いようです。
少し乱暴ですが、サグを大きくしたければ内圧は低めに設定するべきであり、サグを小さくしたければ内圧を高めに設定する必要があると考えます。

2013年モデルまでのDHX系は30%のサグで内圧を高めにするのには少し容量が不足しています。スパルタンな方向に振ってあるため、20%のサグくらいまでなら、内圧を150psiよりも高めに設定していただいても問題はありません。速く走るために理想な減衰特性カーブを得るためには15%~20%程度のサグで150PSIから160PSIあたりが適当なのではないかというのが現時点での結論です。

この話はXC系のダンパーも同じなのですが、内圧の高さや気室の容量に関してはユーザーレベルで調整することができません。というよりも、調整する必要がないようにプリセットされているとお考えください。(モデルごとに、トラベル量で気室の容量設定がされており、窒素充填圧の違いによって基本特性を与えています。)