1Gダッシュのサグ

今日は上級者であっても、何故最低でもトラベル量の15%が必要なのかを具体的に説明したいと思います。

8インチトラベルの15%は1.2インチ。メートル法で換算すれば、30.48mm。
エリートライダーの設定、21~24mmあたりの選手が多いような気がします。(実際には、もっと少ない数値のようですが…。)私はその設定が間違っていると考えています。

サグが少ないというのは、スプリングのレートが高過ぎるということ。これは強めのリバウンド側減衰が必要になることを意味します。スプリングレートを落としたくないのはボトムアウトすることが怖いからなのですが、対症療法的にハイスピード側のコンプレッションをある程度上げることで解決することができます。(ボトムアウトが頻発する場合には、その原因を追及する必要があります。)むしろ問題となってくるのは、その強すぎるリバウンド設定による弊害なのです。ブレーキング時に跳ねてしまうケース、ほとんどが強すぎるリバウンド設定によってコイルスプリングが戻れなくなり、突っ張っていることに起因しています。またフルボトムも、強すぎるリバウンド設定によって十分なストローク量が稼げていないことに影響しています。初期に動き過ぎるのならば、LO側コンプレッション減衰設定を強くすれば解決することができます。

今日はもっと現実的で具体的なお話をします。
巧い人は少ないサグによって前荷重が十分ではない状態でも、習得した技術や経験でカバーすることができます。これが問題を表面化させることを邪魔しています。
練習走行など余裕がある時には、少ないサグであっても強めのリバウンド設定をすることによって対処することができます。
この状態を具体的に表現すると、「前輪がグリップを失った際、リカバリーすることにスピードが要求されても、余裕がある状態の自分であれば、技術によって対処することが可能な設定」となります。

「何故、コースアウトするのか?」
さて本題です。自分の極限に挑むレース。練習よりも速いスピードで走行することはあたりまえのこと。セクションごとにコンマ数秒を削っていく状態で、十分な余裕などあろうはずもありません。タイムと一緒に余裕も、どんどん削られていきます。その上、走行することによってバイクに影響を与える全ての現象が発生するスピードも速くなります。
スピードアップしたことによって、少ないサグと過剰気味なリバウンド側減衰設定では十分に追従することができなくなり、体もバイクも浮き気味になっている状態となります。余裕がないため、技術によって補うはずの荷重移動が遅れ、前輪のグリップが不足します。タイヤが浮いた状態ではハンドルの効きも弱くなり、アンダーステア(想定よりもコーナーの外側にラインがずれます。)となります。
決定的に荷重移動が遅れてしまった場合には転倒に繋がります。このような状況を緩和してくれる余裕が15%のサグ。バイクが浮き気味ならないよう、多めのサグと弱めのリバウンド側減衰が機能し、余裕が少なくなった貴方の代わりをしてくれるのです。

ボトムの限界値が下がるはずの、以前よりも柔らかいスプリングによって生みだされる15%のサグが走行限界を向上させます。

少ないサグと強めのリバウンド。運良く転倒やコースアウトしなければ、いいタイムを出すことができると思います。ただ、この状態に満足してしまうと成績が安定しませんし、より高い限界へのステップを踏み出すことはできません。


参考:
サグの変更はインナーチューブの突き出し量やスプリングの交換などで行います。
40ロ-ワークラウン(下側のクラウン)のイニシャル設定は、インナーチューブ上端からロ-ワークラウンまで163.7mmのところになります。