サグの数値、修善寺でも結果として表れています。

初期の無駄な動きを消すため、必要以上に空気圧を上げてしまうことは愚の骨頂です。
正しい対応は、サグをそのままの状態でロースピード側のコンプレッションを上げること。
空気圧を上げることによってサグを減らしてしまうと、出口のない迷路に入り込んでいくことになります。

サグは体重と車両バランスによって決定されるものであり、サスペンションの動きを制御するために、サグ(空気圧)を変更することは間違った設定方法なのです。
必ずサグは15%~30%の範囲に入れるようにしてください。コースに合わせた設定変更も、必ずこの範囲内で行うようにして下さい。

簡単にお話すると、空気圧を上げてサグを減らしてしまうとストローク量が少なくなります。確かに初期は動き難くなりますが、サグを減らすと圧縮限界が下がってきてしまうため、バネレートを上げたショートストロークのサスと同じ状態になります。

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このグラフは150mmストロークのフォークを、70psi、100psi、125psi にそれぞれ加圧し、10mmずつストロークさせた時の内圧の変化をグラフ化したものです。

70psiが130mmで処理している仕事量を、125psiでは100mmでこなさなければならないことが、このグラフから読み取ることができます。

空気圧を上げると、その違いは簡単に体感できますが、表面上のわかりやすい違いにとらわれてしまうと、速く走るための本質から離れて行ってしまうことになります。

同じ衝撃が入力されても、サグを減らした空気圧が高い状態では、サスペンションの圧縮限界が下がってきますから短い区間で与えられた仕事をこなさなければならなくなります。短いストローク量で衝撃による運動エネルギーを処理しようとすれば、ロースピード側のコンプレッションを上げる必要があり、リバウンド側減衰も強めの設定になります。サスは全域で動かなくなり、突き上げの発生しやすい、余裕のない状態になっていきます。

以前にお話した通り、サグを少なくしてしまうと伸び側の余裕がなくなります。
伸び側の余裕があれば、リバウンド側減衰を弱く設定することができます。
リバウンド側減衰が弱ければ、衝撃に対処する際に、より多くのエネルギーを効率良く消化できる位置まで短時間でもどることが可能になります。エネルギーを消化するために長い距離を使うことができるわけですから、距離あたりの仕事量を減らすことができます。これが余裕に繋がります。

サグの少ない状態は険しい山の稜線を歩くようなもの。線であっても面ではない。
余裕があるから、走りに集中できる。
余裕があるからこそ、ミスを犯してしまう確率を下げることができます。

XC、DHに関わらず、世界のトップクラスで活躍している人たちは、サグを必ず15%~30%の範囲に入れています。逆に言えば、その選手たちが我々に使いやすいよう、その数値をフィードバックしてくれているのです。