前乗りなフレームがトレンドになります。

来年のモデル、一般レベルの方を対象としたモデルでも前乗りを意識した設計が行われています。

先進的なバイクでは、2、3年前からフロントのトラベル量が多いバイクほどヘッドアングルを寝かせる傾向がありました。それによってヘッドチューブへの負担が大きくなるため、1.5の規格を採用するモデルが多かったのですが、重量増などのデメリットがあり、完全にその主導権を握ることはできませんでした。
そのデメリットとメリットを高次元でバランスさせることができた1.5T(テーパー)仕様の存在が十分に認知されたことにより、2011年モデルでは寝かせたヘッドアングル、幅広のハンドル(800mm前後でローライズもしくはノーライズ)と共に3点セットで採用したバイクが台頭してきそうです。

*幅広のハンドル、姿勢が低くなり前過重になります。またハンドルの暴れを抑えることが容易になります。

ここ数年、DWリンクなどサスペンションユニット本体を含めたリアセクション全体の動きがフロントサスペンションの性能を凌駕していたのですが、フロントフォークも急激な改良を受けることによって何とかリアに負けない程度まで性能を上げてきています。

こうした前乗りフレームに対するサスペンション・セッティングは、リアとのバランスを考慮しながらもフロントサスペンションのバネレートを下げてサグを多めに設定するという方向性になります。
減衰に関してはリバウンドの設定を弱め、コンプレッションの設定を強くすることが正しい方向性になります。

適正なサグが取れていないと、チョッパーなような車体姿勢となり、小回りが効かなくなります。
こうした場合、ライダーが後側に重心を持っていくポジションをとると比較的曲がりやすくなるため、それをセッティングの正しい方向であると勘違いしてしまうことがあるようです。

お話をしている内容はDHだけのお話ではありません。
ワールドカップのXCにおいても下りのセクションが速いライダーはあまり腰を引いておらず、重心をセンターに持ってきたままの状態で下っています。体格的にも技術的にも日本人の我々に非常に参考となるのが、ワールドを走る女子のDH選手たちの設定。幅広のハンドルで強制的に前側に重心を持ってきています。

ある選手などは下りのガレ場でリアが左右に振られっぱなし。姿勢を低くした態勢で、まるで前輪だけで走っていくような感じなのですが、不思議なくらい安定しています。
また全てのセクションを通してタイヤが接地している時間が長くなってきており、数年前と比較した場合、衝撃による上下の動きが見事に制御されていることがわかります。
(プロライダーの感想は「ストローク感がないのにもかかわらず楽になる。」そうです。)

こうした乗車姿勢、怪我が多くなるため、メーカーとしては安全上あまりお勧めしたくないはずなのですが、売れない時代のMTBであるがゆえ、コアなファンの購入を視野に入れた設計をしているのが実情なのです。
大手メーカーであっても、ワールド直系なジオメトリーがそのままフィードバックされているわけですから、今がDHバイク完成車のお買い時なのかもしれません。