前後バランスについて

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以前も言及しましたが、自転車に限らずモーターサイクルも含めた一般的なテレスコピック・タイプのフロントフォークは性能の面からみると最高のシステムではありません。
衝撃の緩和、路面追従などの他に操舵という重要な役割があるため、設計上の自由度が低くなります。またブレーキング時のフォークの沈み込みが、我々にとっては当たり前の感覚として身についていることも革新的なデザインの変化が必要とされない原因となっています。
それに対して車体後部のデザインは、トラクションの伝達と衝撃の緩和などが同軸で行われるため、かなり設計の自由度が高くなっています。
フロントもリアもサスペンションユニットの改良が進められていますが、リアまわりはサスペンションユニットを、より効率よく働かせるためのデザインも併せて開発されているため、総合的にフロントよりもリアの方がシステムとしての効率が高くなっています。(荷重のかけ易さでもリアに優位性があります。)

リアサスペンションが直押しに近いシステムは重量を抑えることができるメリットがあり、複雑なリンクを持ったシステムは重量の面において不利はありますが、サスペンションユニットの性能を効率よく引き出すことができます。もっとも反応性、衝撃の緩和、効率、そしてライダーの感性など、多岐にわたる全ての面において100%引き出すことができるデザインというものは現在のところ存在していません。それぞれの得意、不得意な部分の組み合わせがバイクの個性となっています。

自動車のサスペンションとは異なり、衝撃を受けて処理されるまでの工程が基本的に全て同一直線上に位置するテレスコピック・タイプのフロントフォークは衝撃の入力される方向を最適化することができません。しかしスペースの面においてリアサスペンションユニットよりも優位性のあるフロントフォークは、サスペンションシステム全体を大きくすることが可能で、オイル容量の点などにおいてもリアサスペンションユニットよりも有利になっています。システム全体としての効率や性能の点ではまだリア側に軍配が上がるのですが、純粋に部品単体としての減衰性能や耐久性などはリアサスペンションユニットよりもフロントサスペンションの方が勝っています。

仮にテレスコピックの特性上の問題としてダンパー性能の70%程度しか発揮できないのならば、100%の数値(性能)を向上させ、同じ70%でも発揮することのできるパフォーマンスを向上させる努力を行っています。(今シーズンのFOXは各部の摺動抵抗を減少させ、スペースのメリットを最大限に生かし、バルブリーフの大径化などを行っています。)

ここまでは何となくご理解頂けたと思いますが、ここからが今日の本題となります。
「フロントよりリアが勝っているのだな。」程度の認識で構いません。

では質問です。

フロントとリアの性能的なバランスをとるためにはどうしたらいいのか?

先日は15%でサグを設定したいのなら、前後ともに15%に設定することが望ましいとお伝えしました。これは間違いではないのですが、ストロークの大きなバイクでは若干フロントのサグを大きく設定することでパフォーマンス的な優位性が得られるのです。
特に追従側はサグを大きくとることで仕事量を増やすことができ、リアとの性能的なバランスが取りやすくなる傾向があります。
後のサグを15%に設定したのなら、フロントを15%~20%の間でサグを設定する。
これが現時点での、性能的なバランスが得られる割合のようです。