なぜサグの規定値を守らなければならないのか?

結論から先にお伝えすると、サスペンションの機械的効率を最大限に生かすためなのです。

少ないサグは伸び側のトラベルが不足した状態。この状態で正しいロジックでセットアップしていくとリバウンドが強めの設定になり、中速域から高速域において、連続をした入力が発生した際に突き上げが生じます。その突き上げから逃れるため、速く走ろうとすればするほどハイスピード及びロースピード・コンプレッションが機械的な理想値よりも低めの設定になってしまうのです。

過剰なサグは動きの柔らかさを求めての結果なのですが、実は逆効果なんです。特にエアスプリングの場合、サグを得るためにエアスプリングが既に圧縮されてしまった状態になっていますから、ストローク中盤以降、急激に圧縮抵抗が大きくなり踏ん張ってしまうため、ストローク感がなくなります。リバウンドは弱めの設定にすることができるのですが、ハイスピード・コンプレッションが理想値よりも低めの設定にすることを強いられます。
ロースピード・コンプレッションは強めに設定したいはずなのですが、エアスプリングの設定空気圧が低めになっているため、初期での反発力が不足、もったりとした動きになってしまうので、やはり少なめの設定になってしまうことになります。

ロースピード・コンプレッションとハイスピード・コンプレッションの設定値に大きな差が生じていると、それぞれの入力スピード領域での仕事を受け渡す際にスムースに行うことができなくなるため、ストローク途中での寸詰まり感や中盤以降での急激なストローク感の原因となります。

機種にもよりますが、正しいサグは15%から30%(40FLOATの場合)。
この範囲でサグを設定できているのならば、動き過ぎるからと言って推奨サグの設定値を超えて空気圧設定を上げたり下げたりすることは、絶対に行ってはいけません。
上手くリバウンドやコンプレッションの設定をしたつもりになっても、機械的な性能面でのロジックが破綻していますから、サスペンションの限界性能や効率は確実に低下しています。

動き過ぎるのなら、ロースピード・コンプレッションの発生を増すことによって対応する。
ボトム感を和らげたいのなら、ハイスピード・コンプレッションの設定を強めに設定し、必要であれば、空気室の容量設定を減らす。これが正しい設定の方向なのです。

*写真は32 / 34のリバウンド設定値。
画像